第3回 身体障害者手帳を申請したい!相談から受け取りまで
📖 【全3回】脳梗塞・脳出血の身体障害者手帳ガイド
- 第1回:障害者手帳って何?持つメリット・使える制度
- 第2回:脳梗塞・脳出血の後遺症で手帳は取れる?認定基準
- 第3回:身体障害者手帳を申請したい!相談から受け取りまで(本記事)
前回は、脳梗塞・脳出血の後遺症が、どのような場合に身体障害者手帳の対象になるのかをご紹介しました。
では、「自分も対象になるかもしれない」と思ったら、次はどうすればよいのでしょうか?
誰に相談する?
診断書は誰に書いてもらう?
申請してから、どのくらいで手帳を受け取れる?
今回は、相談から申請、手帳を受け取るまでを順番にご紹介します。
【1】身体障害者手帳を申請したい。どこに相談すればいいですか?
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談しましょう。「脳梗塞・脳出血などの後遺症で、身体障害者手帳を申請したい」と伝えると、必要な書類や手続きについて案内してもらえます。
同時に、現在診てもらっている主治医にも相談してみましょう。
身体障害者手帳の申請には、医師が作成する専用の「診断書・意見書」が必要です。ただし、この診断書は、どの医師でも作成できるわけではありません。
まずは「市区町村の障害福祉担当窓口」+「現在の主治医」への相談から始めるとよいでしょう。
【2】身体障害者手帳の診断書は、誰に書いてもらうのですか?
身体障害者手帳の「診断書・意見書」を作成できるのは、「身体障害者福祉法第15条指定医」です。このナレッジでは、以下「第15条指定医」または「指定医」と表記します。
第15条指定医とは、身体障害者手帳の申請に必要な「身体障害者診断書・意見書」を作成できる医師として、都道府県などから指定を受けた医師です。いつも診てもらっている主治医が第15条指定医であれば、その主治医に診断書・意見書を作成してもらうことができます。
一方、主治医であっても、第15条指定医でなければ身体障害者手帳用の診断書・意見書を作成することはできません。
まず、主治医に「身体障害者手帳の診断書を書ける指定医ですか?」と確認してみましょう。
【3】主治医が第15条指定医ではありません。どうすればいいですか?
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談してください。身体障害者手帳の診断書を作成できる指定医について案内してもらえます。
現在の主治医から、指定医のいる医療機関を紹介してもらえる場合もあります。
現在の主治医が指定医でなくても、身体障害者手帳は申請できます。
その場合は、市区町村の障害福祉担当窓口などで、診断書を作成できる指定医を確認しましょう。
【4】診察を受ける前に、何か準備するものはありますか?
まず、身体障害者手帳用の「身体障害者診断書・意見書」を用意します。用紙は、市区町村の障害福祉担当窓口などで入手できます。自治体によっては、ホームページからダウンロードできます。その用紙を持って、指定医を受診します。
診断書には、障害の種類ごとに様式があります。脳梗塞・脳出血による片麻痺などでは、主に「肢体不自由」の診断書・意見書を使用します。
失語症などでは、「音声・言語機能障害」などの別の診断書・意見書を使用します。
受診する前に、どの診断書用紙を用意すればよいか、市区町村の窓口で確認しておくとスムーズです。
【5】指定医の診察では、どんなことを確認しますか?
障害の種類によって異なります。脳梗塞・脳出血による片麻痺では、
- 上肢や下肢の動き
- 筋力
- 関節の動き
- 麻痺の程度
- 手指の機能
- 立つ、歩くなどの動作
- 日常生活での動作
などを計測・確認します。
指定医は、診察結果などをもとに「身体障害者診断書・意見書」を作成します。診断書・意見書には、障害の状態だけでなく、障害等級についての医師の意見も記載されます。
ただし、指定医が記載した等級が、そのまま最終的な手帳の等級になるとは限りません。最終的な認定は自治体が行います。
【6】申請するときには、何が必要ですか?
申請に必要な主なものは、
- 身体障害者手帳の交付申請書
- 指定医が作成した診断書・意見書
- 本人の写真
です。
このほか、マイナンバーの確認書類や本人確認書類などが必要になります。
手続きの詳細は、お住まいの自治体で確認してください。
●身体障害者手帳に使用する写真について
国の申請様式では、
- 縦4cm×横3cm
- 脱帽した上半身の写真
- 申請時から1年以内に撮影したもの
とされています。
自治体によっては、
- 真正面を向いた写真
- マスクを外した写真
- 写真用紙に印刷したもの
など、さらに条件を設けている場合があります。
写真の撮り方や印刷方法など、細かな条件は自治体によって異なる場合があります。写真を用意する前に、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口やホームページで確認しておきましょう。
【7】本人が役所まで行かないと申請できませんか?
本人以外の家族などによる代理申請を受け付けている自治体もあります。その場合、委任状や代理人の本人確認書類などが必要になることがあります。車椅子を利用している方、外出が難しい方などは、無理をせず事前に自治体へ相談してみましょう。
代理申請や郵送申請の取り扱いは自治体によって異なります。「本人が行けないのですが、家族が申請できますか?」などと事前に確認してください。
【8】申請したあとは、どのように等級が決まるのですか?
提出された診断書・意見書などをもとに、自治体が審査します。
ここで、医師・自治体、それぞれの役割を整理しておきましょう。
●主治医
普段、診療を受けている医師です。主治医が第15条指定医とは限りません。
●第15条指定医
身体障害者手帳用の診断書・意見書を作成し、障害等級についての医師の意見を記載します。
●自治体
診断書・意見書などをもとに審査し、最終的な障害の認定と等級を決めます。
診断書だけでは判断が難しい場合には、指定医への問い合わせや、さらに詳しい審査が行われることもあります。
その結果、
- 指定医の意見どおりの等級になる
- 指定医の意見とは異なる等級になる
- 認定基準に該当せず、手帳が交付されない
といった場合があります。
「医師から○級相当と言われた=必ず○級の手帳が交付される」というわけではありません。
【9】申請してから、どのくらいで手帳を受け取れますか?
自治体によっては、申請から1~2か月程度を目安として案内しているところがあります。ただし、診断書について確認が必要な場合などは、さらに時間がかかることがあります。
手帳が必要になる予定がある場合は、余裕をもって申請しましょう。
【10】手帳ができたら、どのように受け取りますか?
手帳の交付が決まると、市区町村から連絡があります。その後、指定された窓口などで身体障害者手帳を受け取ります。
受け取り方法は自治体によって異なります。また、手帳が交付されたからといって、利用できるすべての制度が自動的に申し込まれるわけではありません。
たとえば、
- 医療費助成
- 税金の控除
- 補装具費の支給
- 有料道路の割引
- 交通機関・移動の割引(民営バス乗車割引証、福祉タクシー券、など)
- NHKテレビ受信料の減免
- 自治体独自の福祉サービス
などは、別に申請や手続きが必要になる場合があります。
窓口で手帳を受け取るときに、「この等級で利用できる制度には何がありますか?」と窓口で確認してみましょう。
【11】身体障害者手帳は、毎年更新するのですか?
原則として、毎年の更新はありません。
ただし、障害の状態が今後変化する可能性がある場合には、一定期間後の「再認定」が必要になることがあります。再認定が必要な場合は、その時期が示されます。
脳梗塞・脳出血後の比較的早い時期に認定された場合などでは、回復の経過を確認するため、再認定となることがあります。
身体機能が改善すれば、再認定によって等級が変更される場合もあります。
まとめ
身体障害者手帳の申請は、少し複雑に感じるかもしれません。でも、一度にすべてを調べる必要はありません。
まずは、「自分は身体障害者手帳の対象になる可能性がありますか?」と、主治医や市区町村の障害福祉担当窓口に相談するところから始めてみましょう。
身体障害者手帳は、障害を決めつけるためのものではありません。今の身体の状態に合わせて、毎日の暮らしを支える制度を利用するための選択肢のひとつです。
リハビリを続けながら、必要な制度を上手に活用していきましょう。
▼ 全3回の記事一覧
- 第1回:障害者手帳って何?持つメリット・使える制度
- 第2回:脳梗塞・脳出血の後遺症で手帳は取れる?(片麻痺・認定基準)
- 第3回:身体障害者手帳を申請したい!相談から受け取りまで(本記事)
【主な参考資料】
・厚生労働省「障害者手帳について」
・厚生労働省「身体障害者福祉法第15条に定める指定医師向け 医師の診断書作成マニュアル」
・厚生労働省「身体障害者手帳交付申請書(様式)」
※申請方法、必要書類、写真の条件、代理申請の方法、交付までの期間などは、自治体によって異なる場合があります。申請前に、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口でご確認ください。
