「車いすトラベラー・三代達也さんに聞く!」編 vol.2

こんにちは!


 リハビリお役立ち情報のコラムを担当しているスタッフJSです。


 前回、 『「車いすトラベラー・三代達也さんに聞く!」編』の第1弾ということで、三代(みよ)さんのプロフィールを紹介しました。 今回は、「世界一周」を志すきっかけになった「ハワイ旅行」や、海外のバリアフリーのお話しなどを紹介致します。 


 


■『車椅子トラベラー』誕生のきっかけとなったハワイ旅行


 三代さんは、事故のあとリハビリを経て、就職をし、貯めたお金でハワイ旅行に行ったそうです。それは今から15年ほど前の話で、日本では「バリアフリー」という言葉が出てきたぐらいの頃。しかし、ワイキキ(ハワイの中心部)では、車いすで入れないホテルやお店を探すほうが大変なぐらいだったし、砂浜にマットが敷いていてあり、車椅子でも海岸に出られたそうです。また、駐車場でも車いす専用エリアにズルして停めると罰金がとられるとのことで、ハード面でのバリアフリーはあたりまえだったそうです。


それ以上に三代さんが衝撃を受けたのは、心のバリアフリーでした。ある夜のこと。 一人で食事をしていた三代さんのところに、ヤンチャそうなお兄さん達が集まってきたとか…。内心、とても怖かったそうなのですが、彼らから出てきた第一声は、 「どこか悪いのか??どうしたの?」と言った気負いのない会話 でした。その後何分か話していたら、「踊りに行かないか?」 と、誘われたそうです。 三代さんは驚き、 「僕は(みんなと同じように)踊れないよ、、」 と、答えました。すると、「(みんなと同じように)踊らなくていいんじゃないか?身体揺らしてるだけで十分だよ!」と返されました。最後に、「なんでメガネかけているの?」くらいのトーンで「なんで車椅子なの?」と聞かれたことも含めて、20代前半だった三代さんにとっては、事故後はじめて障害者であることをまるで意識せず過ごした4泊6日となり、この経験は一生忘れられない思い出になったと話されていました。


そして、社会に出てやるせない現実を知り絶望していたという三代さんでしたが、一歩踏み出す勇気を持ち踏み出して見れば違う世界があることを知りました。 もっと世界を知りたい、そしてその経験を伝えていきたいと思った三代さんはやがて車いす世界一周を志します。


 


■車椅子トラベラー三代さんが世界で体感したバリアフリー


海外の交通・宿泊事情についてもお聞きしてみました。


海外で移動する際にはバスや電車などの公共交通機関やタクシーを使って移動される事が多いとのことだったのですが、ヨーロッパやアメリカでは、特にバスを使って移動するのが便利だそうです。 なぜなら、たくさんの路線が走っていて、主要な場所への移動が簡単だから。また、日本のバスと違い、運転手さんにスロープを出してもらわなくても、スロープがボタン一つで出てくるようで、スペースも広く確保されているので、他のお客さまに気を遣わずに利用できるようです。


電車での移動は、遠距離の場合は日本と同じように前日からの予約が必要で面倒なところもあるものの、やはり海外の方が広いスペースが確保されているケースが多く利用しやすいそうです。


 


ホテル等の宿泊先については、世界一周旅行の時は観光地や古い遺跡を巡る事が多かったため、古い遺跡や古い建造物の多いところでは、大変な思いもしたが、現地の人の優しさや暖かさに触れる機会が多かったようです。観光地では、もちろん価格の高いところを選べば良いところはあるだろうけれど、当時はお金もなく、安いところを利用したので、なんとも言えないというところが本音だそうです。


 


また、ホテルの「バリアフリールーム(ユニバーサルルーム)」についても話が盛り上がりました。車いすでも利用可能なお部屋を指すバリアフリールームですが、規定や規則はあるものの、その実態はホテルによってさまざまです。普段車いすの私も、ホテルを利用する時にはバリアフリールームを利用するのですが、オンラインでの予約ができなかったり、お部屋があるのは分かっても、どのようになっているかまでは分からなかったり、また多少広いから車椅子では入れるけれど、洗面スペースには段差があったり・・・と苦労する事が多いです。海外では、バリアフリールームについて、詳細に情報を公開する決まりがあったり、きちんと守らなければ、罪に問われたり、するところもあるとか…。怪我や病気による車いすユーザーだけではなく、高齢の方にとってもバリアフリールームは過ごしやすい空間なので、標準となっていくことを願うばかりです。


 


三代さんは沢山の国をその後旅されてきましたが、「タイ」が一番好きなそうです。「ハード面(設備のバリアフリー)は真ん中からちょっと下くらい。でも、街がバリアにあふれていても人がよかった。気軽に声をかけてくれて、お店にあがる階段を、タイ人がタイ人を連れてきてくれて車椅子の僕を上げてくれた。帰りは店長がお店にきているお客さんに声をかけて下ろしてくれた。それが終わった瞬間にそれぞれがそれぞれの人生を歩み出す、という感じで息を吐くように近くにいる人に手を差し伸べていることが根付いていた」とおっしゃっていました。「(ハワイほど)社会モデルは整っていなかったけれどソフト面でのバリアフリーで解決できて、暖かくて心地よかった」と感じられたそうです。


 


さて、今回は、三代さんが世界一周を志すきっかけとなった「ハワイ旅行」や海外のバリアフリーについて、触れさせていただきました。


 


次回は、免許更新のお話しや、運転について、紹介できたらと思います。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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