【リハセンナレッジ*コラム】理学療法士(PT)と作業療法士(OT)の違いを教えて!

みなさまこんにちは!リハビリ・お役立ち情報のコラムを担当しているスタッフJSです。今回は改めて…リハビリの専門家である『理学療法士』と『作業療法士』の違いや特性について取り上げます。


 


■ 理学療法士 (PT=Physical Therapist) とは?


理学療法士を一言でいうならば動作の専門家です。寝返る、起き上がる、立ち上がる、歩くなどの日常生活を行う上で基本となる動作の改善を目指します。日本では現在約17万人が理学療法士の国家資格を保有していて、さまざまな分野で活動されていま。


日本理学療法士協会のホームページに理学療法士の仕事や役割について、分かりやすく記載されていたので、以下、引用いたします。


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理学療法士は、ケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職です。


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公益財団法人・日本理学療法士協会 https://www.japanpt.or.jp/about_pt/therapist/


 


理学療法士免許を取得した後は、主に病院、クリニック、介護保険関連施設等で働いています。近年は、高齢者の介護予防、フレイル予防、健康増進、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病に対する指導、スポーツ現場、産業分野など活躍の場が広がっています。


 


■ 作業療法士 (OT=Occupational Therapist) とは?


作業療法士はその名の通り、作業の専門家です。日常生活をスムーズに送るための動作のリハビリテーションを行い「食事をする」「顔を洗う」「料理をする」「字を書く」等の生活する上で必要不可欠な動作の改善を目指します。日本では現在約9万5千人が作業療法士の国家資格を保有していて、さまざまな分野で活動されています。


日本作業療法士協会のホームページに作業療法士の仕事や役割について、分かりやすく記載されていたので、以下、引用いたします。


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食べたり、入浴したり、仕事をしたり、遊んだり、買い物をしたり、料理をしたり……


人の日常生活に関わるすべての活動を「作業」と呼びます。


障がいなどによって、それらを行うことが難しくなっている人を対象に、作業療法士がリハビリテーションのプログラムを作ります。「作業」そのものを練習したり、心身の機能や回復や維持の手段として「作業」を行う。それが作業療法です。


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一般社団法人・日本作業療法士協会 https://www.jaot.or.jp/ot_job/


 


作業療法士の活躍の場は広く、医療・介護・福祉の領域をはじめ、保健・教育・司法などの領域にも広がり、治療だけでなく、予防的な働きかけや社会復帰の支援、学校での教育支援など、幅広い役割を担っています。


 


■ 理学療法士や作業療法士にはどうやってなるの?


高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定する養成校や養成課程で3年以上学び、そのカリキュラムをすべて習得して国家試験の受験資格を得た後、国家試験を受けることになります。


◆1~2年次は、理学療法士と作業療法士はどちらもリハビリテーションの専門職として必要になる医学的な基礎知識を学びます。人体の構造や機能、疾病や障害とともに回復のメカニズムなどを系統立てた理解し、その知識をもとにした理解力・観察力・判断力を培います。


共通科目►►「解剖生理学」「運動学」「人間発達学」「病理学」「臨床医学」「生理学」「内科学」「小児科学」「老年学」「リハビリテーション医学」「リハビリテーション概論」「保険医療福祉とリハビリテーション」等 


◆2年次以降には、理学療法士と作業療法士で学ぶ内容が違ってきます。


►理学療法士であれば、「基礎理学療法学」「理学療法評価学」「理学療法治療学」「地域理学療法学」等、知識と技術を学んでいきます。骨・関節疾患、神経・筋疾患、中枢神経疾患、発達障害などに対する理学療法の評価や治療技術が含まれます。


►作業療法士であれば、「基礎作業療法学」「作業療法評価学」「作業治療法学」「地域作業療法学」等を学んでいきます。身体障碍・精神障害・老年期障害・発達障害・身体障害の各領域における評価や治療技術が含まれます。


◆3~4年次は、医療現場を中心とした臨床実習が多く行われます。指定された時間数(理学療法士・作業療法士ともに800時間超)の臨床実習も行わなければならない決まりとなっています。


◆国家資格取得のための試験科目


<理学療法士>


・一般問題: 解剖学・生理学・運動学・病理学概論・臨床心理学・リハビリテーション医学・臨床医学大要・理学療法


・実地問題: 運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学・臨床医学大要・理学療法


<作業療法士>


・一般問題: 解剖学・生理学・運動学・病理学概論・臨床心理学・リハビリテーション医学・臨床医学大要・作業療法


・実地問題: 運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学・臨床医学大要・作業療法


 




さて、ここからは『脳梗塞リハビリセンター』の理学療法士であり、研修センター長を務める福田先生へのインタビュー形式で、さらに深堀してみます。


 


■福田さんへの質問①:なぜ理学療法士になろうとおもったのですか?


⇨高校時代、友達がなりたいと言っていたのを聞いて、調べてみたら、手に職をつけることができるとわかったので興味を持ちました。正直、建築系にいくか医療系にいくか高校3年目でもギリギリまで悩んでいました。


 


■福田さんへの質問②:なぜ『脳梗塞リハビリセンター』で働こうと思ったのですか?


⇨初めの職場が回復期のリハビリ病院だったのですが、働いているうちにやり甲斐を感じ、この仕事が好きになりました。ただ年々医療費削減のあおりを受けて、入院期間がシビアになり、まだまだ叶えたい希望やポテンシャルがあるのに退院せざるを得ない状況を目の当たりにして、本当にこれが自分のやりたかった事なのかと考える様になりました。そこで保険外で頻度や期間を気にせずにリハビリを提供できる『脳梗塞リハビリセンター』に入ろうと思いました。


 


■福田さんへの質問➂:一般的には、理学療法士と作業療法士の活躍領域や得意な分野は違うようですが、『脳梗塞リハビリセンター』では、PT・OTが区別なく活動されているように思います。それはなぜですか?


⇨おっしゃるとおりで、理学療法士の業務は基本動作能力(起き上がりや歩行etc)の回復、作業療法士の業務は応用的動作能力(食事、トイレ、入浴etc)の回復に努めること、と定義されています。よって理学療法士は移動能力・下肢のリハビリを担当、作業療法士は日常生活動作・上肢のリハビリを担当し、“基本的には”それぞれが得意になってきます。ただ、実際の生活の動作は基本動作と応用動作を分けて考える事は難しいですよね?


例えばトイレに行くという生活動作の達成のためには、トイレまで移動する基本動作能力が必要ですので結局はミックスしてリハビリをする必要があります。回復期のリハビリ(医療保険)ではよりシステマティックに限られた資源で最大の効果を引き出すため分業化されています。ただ理想をいえば、分業するにしても脚を動かすリハビリには手の知識や高次脳機能の知識も必要ですし、手を動かす何らかの活動のリハビリにも脚を含めた全身の身体の知識が必要です。病院はシステム的に両方の経験値を重ねるのは難しい環境であるかもしれません。


『脳梗塞リハビリセンター』では、その方に見合った最適なお手伝いができる様に、研修にてPTかOTかに関わらず両方の知識を持った上でデビューしてもらいます。この研修は、病院での経験が長い方も必ず受けてもらっています。そのため、PT⇔OTの区別なく施術ができております。


 


■福田さんへの質問④:『脳梗塞リハビリセンター』のセラピスト研修プログラムや育成方法を知りたいです。


⇨前の回答で述べた通りPTかOTかに関わらず、手や脚、脳機能の知識および実践への応用を研修しています。また、リハビリの世界では、茶道でいうような千家、裏千家の様に、技術的な流派が様々存在しているのですが、特定の流派に固めることはしておらず、各々の今までの経験に合わせて研修をしております。(※流派により効果の大小はありませんのでご安心ください。)


その上で、研修で最も大事にしていることは「観察」です。どの流派においても、リハビリのプランを立てる時も、効果判定をする時も、目の前の現象をしっかり把握する事が重要で、観察できる事でその方に合わせたリハビリが行える様になります。


 


■福田さんへの質問⑤:調べてみると、病院や介護施設などだけでなく、教育現場や行政などで活躍されているPTさんやOTさんがいることを知りました。『脳梗塞リハビリセンター』にもそのような機関でも活動されているスタッフさんはいらっしゃいますか?


⇨.教育機関や行政での活動はその機関で働いている方が基本行いますので脳梗塞リハビリセンターのスタッフが直接従事しているということはありません。ただ、教育機関や行政から依頼をうけた場合は、生活期リハビリに携わる者として出来る範囲で貢献したいと思っておりますので、開設当初から様々な方面で講演や勉強会講師、発表などを精力的に行っております。


例)市区町村と連携した予防観点での体操教室、大学や専門学校での講演、理学療法士協会でのセミナーなど


 


 




以上、リハビリの最強パートナーである、理学療法士・作業療法士についてのコラムをお送りしました。


 


■回答者プロフィール


脳梗塞リハビリセンター
事業部 研修センター長 理学療法士
福田 俊樹


Fukuda


学歴:
2006年3月 名古屋大学医学部保健学科理学療法学専攻 卒業


職歴:
2006年4月 初台リハビリテーション病院 入職
2016年3月 初台リハビリテーション病院 退職
2016年4月 (株)ワイズ 脳梗塞リハビリセンター 入職


会員:
社団法人日本理学療法士協会正会員
社団法人東京都理学療法士協会正会員
日本ボバース研究会会員


主な活動実績:
脳卒中慢性期のリハビリテーションメソッド起き上がり編、地域リハビリテーション、三輪書店出版、2018(連載)




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