【リハセンナレッジ】下肢装具を新しく作る/作り替える

生活期に下肢装具を新しく作る(新調する)/現在使用中の下肢装具を作り替える時の「手続きの流れ」を解説します。


<1> 装具を新しく作る/作り替える目安


■装具のプラスチックのひび割れ、継手部分のひびや部品の欠けなど修理の対応ができない損傷がある場合、また、著しい身体状況の変化によって装具が適合しなくなった時は、装具の「作り替え」をおすすめします。そのまま使い続けると割れたり壊れたりして足を傷つけたり、歩きにくくなり転倒の危険性が高まります。


■ご使用中の下肢装具に関して気になる箇所があれば、「脳梗塞リハビリセンター」担当スタッフまたは、装具をおつくりになった時のかかりつけに相談の上、義肢装具製作会社への点検の依頼や「装具の作り替え」を早めに検討しましょう。


 




<2> 装具を新調する/作り替える際の手続きの流れ


下肢装具を新調/作り替えるには、主に3つの方法があります。ご自身のご利用条件に合わせて、【1:身体障害者手帳を利用する】 【2:医療保険で製作】 【3:自費で製作】から、いずれか方法を選び、 手続きをすすめましょう。


次に、3つの方法別に「新調、作り替えを依頼する → 装具を受け取る までの流れ」を解説していきます。


 


■【1】: 身体障害者手帳 「補装具費支給制度」での製作


●条件: 身体障害者手帳の交付を受けていること


●申請手続きの流れ:


 新調と作り替え


◆補装具費支給制度 「新調と作り替え」 手続きの流れ


① お住いの自治体(市区町村)の 障害福祉窓口 または 補装具相談窓口へ問い合わせ、下肢装具製作の申請手続きを行う。
また、申請までに、医師に「補装具費支給意見書」の作成を依頼し交付を済ませておく。


② ①の申請内容に基づき、自治体の相談窓口から自治体が管轄する自立支援相談機関*へ判定を依頼。


*自立支援相談機関/障害者自立相談支援センター
東京都の場合は「東京都心身障害者福祉センター 本所」(新宿区)、
「同 多摩支部」(国立市)]


③ 指定(予約)日時に申請者がお住いの管轄の自立支援相談機関を直接訪問し、支給可否の判定を受ける。
(※ 申請時に提出する、医師による「補装具費支給意見書」により判断する書類判定もあります)


④ 自立支援相談機関が 自治体の相談窓口へ判定書を交付。


⑤ 自立支援相談機関が義肢装具製作会社へ判定通知と見積を依頼。


⑥ 義肢装具製作会社から自治体の相談窓口宛てに見積書を発行。


⑦ 自治体の相談窓口から申請者へ支給決定通知。


⑧ 支給決定の内容に基づき、申請者と義肢装具製作会社が契約を結ぶ。


⑨ 義肢装具製作会社が装具製作を開始(採型、採寸、仮合わせ、など)


⑩ 指定(予約)日時に自立支援相談機関を直接訪問し、完成した下肢装具の適合判定を受ける。


⑪ 下肢装具を義肢装具製作会社が申請者に引き渡し(納品)。申請者は義肢装具製作会社に購入費等を支払い、領収書を受け取る。


●自己負担額: 原則、給付内容の1割


●補装具費の支払い:
装具購入または修理にかかる費用の原則1割を利用者負担金として申請者が義肢装具製作会社に支払い、残額を補装具費として市区町村が義肢装具製作会社に支払います。ただし、支給対象外の部品や製品は自費となる場合があります。


●納期: 約2か月 程度


注意:市区町村によって手順(流れ)が異なる場合があります。詳しくはお住まいの市区町村の障害福祉窓口 または 補装具相談窓口へお問い合わせください。


※補足: 補装具費支給制度については、関連記事「補装具費支給制度を受けるには」をご覧ください。


 


■【2】: 医療保険での製作


●条件:
・健康保険、国民健康保険、後期高齢者保健等の被保険者証を有していること
・身体障害者手帳の交付を受けている方は、原則、身体障害者手帳を利用した製作となります。上記 ■【1】 身体障害者手帳 「補装具費支給制度」での製作をご覧ください。


●申請手続きの流れ:


① 通院中の かかりつけ病院(医療機関)等へ問合せる。
② 病院にて、医師による確認/医師の指示による装具の処方。
⑤ 病院から、参院している義肢装具製作会社へ製作を依頼。
⑥ 義肢装具製作会社から申請者へ、製作の内容と費用等の「見積」が届く。申請者が確認したのち、義肢装具製作会社が製作をすすめる。型取り、採寸などは病院の外来で行う。
⑤ 病院を通じて、新しい装具を受け取る。修理代金は義肢装具製作会社に直接支払う。


●自己負担額: 原則、1割 もしくは 3割


●補装具費の支払い: 医療保険で「治療用装具」を製作した場合は、義肢装具製作会社に一旦全額支払いをした後に、各保険組合等より審査の上、自己負担率に応じて7~9割が給付されます。


●納期: 約3週間


※注意: 一般的な流れであり、医療機関によっては一部異なる場合があります。


 


■【3】: 自費での製作、購入


●条件:
なし(どなたでも自費で製作・購入が可能)


●製作手続きの流れ:
・使用中の下肢装具の購入先(義肢装具製作会社など)をご存知の方は購入先へ「自費で製作、購入したい」旨を直接相談し、新しい装具の製作を依頼しましょう。
・自費での製作・購入を希望する方で、依頼先の義肢装具製作会社が分からない・不明な場合は、「脳梗塞リハビリセンター」の担当スタッフに一度ご相談ください。下肢装具を自費で製作・購入ができる義肢装具製作会社をご紹介することもできます。


●自己負担額: 全額自己負担


●納期: 約1~2週間


 




◆[参考]自費での製作、購入 : 参考価格と納期 について


下肢装具を自費で購入した場合の、下肢装具の参考価格、納期の例 をご紹介します。


※注意:
・修理、新規作成の料金は年々変動があるため、価格は税込の参考価格・概算です。下記は「川村義肢株式会社 東京本社 修理サービス」利用時の料金(2021年度)をもとに作成しました。


・義肢装具製作会社によってサービスの内容、下肢装具の価格、納期は異なります。詳しくは購入先の義肢装具製作会社までお問い合わせください。


 


[参考:「川村義肢株式会社 東京本社」下肢装具 (2021年8月現在)資料より]


① プラスチックAFO シューホーン型 (オーダー)
(短下肢装具 硬性)
・金額:49,100円~
・納期:2週間(仮合せ含む)


② 継手付きプラスチックAFO (オーダー) [タマラック など]
(短下肢装具 硬性)
・金額:57,300円~ (継手による)
・納期:2週間(仮合せ含む)


③ オルトップ AFO (既製)
(短下肢装具 硬性)
・金額:25,600円
・納期:1週間


④ 金属製AFO (オーダー) [両側支柱 AFO 靴型装具タイプ など]
(短下肢装具 両側支柱付)
・金額: 77,000円~ (継手による)
・納期:2週間(仮合せ含む)


⑤ ゲイトソリューションデザイン (既製)
(短下肢装具 両側支柱付)
・金額:129,700円
・納期:1週間




<制作協力>
川村義肢株式会社


■参考資料:
川村義肢株式会社 「下肢装具」(カタログ/医療関係者向け)、同 「安心・安全に装具をお使いいただくために -下肢装具編 -」(パンフレット)、同 「生活サポート用品カタログ vol.21」より「制度(補装具支給事業)」




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