ご利用者さまの声 言語リハビリ

少しずつこんな風に表現できることが 私も凄く嬉しいですよね。(奥様)

80代男性/脳梗塞/右片麻痺、失語症
榎本様

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脳梗塞後、右片麻痺と失語症を発症された榎本様。ほとんど話せなくなってしまった状況から、当センターの失語リハビリをご利用いただいてだんだんと話せるようになりました。改善の実感について、ご本人様と奥様にお話を伺いました。

※榎本様は失語症のため、奥様にご同席いただき主に奥様にお話しいただいています。また、会話を補足するためにインタビューに担当の言語聴覚士(ST)が会話に参加しております。

発症時の経緯について教えてください

奥様:丁度、2016年の7月15日に倒れました。実は倒れる2週間前、足がすごく腫れたことがありました。それで病院に行ったんですけど、腫れた理由が分からないって医師が仰ってました。それで、お薬も何も貰わないで帰ってきたんですね。そしてそのあと、2週間くらいしたある日、突然倒れたんです。その日、夕飯の支度ができて主人を呼んだとき、自分の椅子に座って黙っているので、「食事できているから温かいうちに早く食べてちょうだい」って頼んでも黙って下を向いていて、気になってふと顔を見たらその時にはもう顔半分垂れてました。右手で箸持たせようとしたけれども、もう箸も持てず、私はもう頭パニックになりましたね。2回に同居している嫁が、「お母さん!これはもう脳溢血か脳梗塞!救急車救急車!」ってすぐ呼んでくれたもんですからね。救急車が来て、隊員の方が、『いつ倒れたのですか?』って聞かれましたが、外で転んだのかな?とも思ったのですが。

主人に救急車が来たことを告げると、自分でトイレへさーっと行くんですよ。無意識だったのかもしれれませんが、救急隊員の方に「早く、ここに寝てください!』って言われて、寝たら意識が無くなったようでした。それからずっと2週間ほど意識不明でしたね。主人は本当に健康なものだ、とばっかり思っていました、病気したことがない人ですから。

最初に運ばれた病院は、8月いっぱいまでいました。退院する直前にもなると、トイレにひとりで歩いて帰ってこれるくらいまでになっていました。

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リハビリ病院ではどのようなリハビリをされていましたか?

奥様:急性期病院のあと、五反田のリハビリ病院に転院し、12月26日まで入院していました。最初の病院でリハビリをしたからある程度体の麻痺のところは回復されたいうことでしたが、毎日午前と午後で二度リハビリがあったみたいです。色んなお豆をお箸でひとつずつ摘んで入れたり、キュービックを色違いに並べてみたり、そんなことやってました。

言語のリハビリもやってたみたかったですけど、麻痺のためのリハビリが中心でした。ただ言葉がしゃべれない症状があったので、退院のときはこれからどうなるのか、不安は大きかったです。

自宅復帰されてから、どんな困りごとがありましたか?

奥様:主人はもともと自宅では用があるとき以外はあまりしゃべらない性格でしたけれど、話す内容が私にはなかなか理解できなくて、それがほんとうに困りました。それは家に戻ってきて実感したことです。何を話すにしても理解するのには2分くらいかかってしまいます。例えば会話をしているとき、どうしても理解できないから、「書いて」って頼むんですけど、なかなか思うように書けないんですよ。筆は持つけれども、ちょっと書きかけてまた止まってしまう。

言語聴覚士:出てきても違う言葉を書いちゃってしまうんですよね。

旦那様:そうね、それはね。

奥様:なので、あるとき『何を食べたいのか、絵を描いてちょうだい』って頼んだら、何か描いてるのを見て、「カツを食べたいの?」って聞いたら、「違う」と。じゃあ何なんだろうと悩んでたら、うちの主人はメンチとかコロッケが好きなので、「あ、分かった!メンチ!」って言ったら、「メンチじゃない」と。メンチじゃなければコロッケかなと思って、「じゃあコロッケ?」って聞いたら、今度は「そう」と返ってくる。そんなやりとりで、2分〜3分どうしてもかかってしまいます。こんな風に、私の方が色んな材料を出して、そこから選んでもらって会話をしているような状態でした。

脳梗塞リハビリセンターを利用された経緯とリハビリをしてみた感想はいかがですか?

奥様:こちらには退院してすぐに体験をしにうかがいました。退院後、福祉の方が家に来てくださって、いろんな説明や何かを受けてきましたので、1ヶ月くらいはリハビリをしていませんでしたが、そんな折、嫁がインターネットで調べて初めてこちらの施設のことを知り、興味がわきました。脳梗塞の専門のリハビリだから、ということで興味をもってうかがって以来1年近く通っています。病院の方では、遂行機能障害とか注意障害、意味の理解に関する障害を言われておりましたが、ほとんどしゃべれない状態でしたので、言葉をもっとしゃべれるようになりたいという目的でリハビリを始めました。

言語聴覚士の先生に言葉のリハビリをやってもらっていますが、鍼もやってくださるということだったんですけど、それは本人が「いやだ」ということで、しばらく私だけやってもらっていましたね。鍼なんかやったことなかったのでずっと嫌がっていたのですが、私は腰痛やひざによくやっていたので、大丈夫よと説得して、じゃあやってみようかということになりました。そしてもう今ではすっかり慣れています。 リハビリを続けて1年ほど経ちましたけど、最近言葉はずいぶん出るようになったと思います。日頃使っている言葉なんかだと、ぽっと少し出るようになりましたね。

言語聴覚士:当初は会話は可能だけど、何を言われているのかが理解しにくい状況でした。最近ちょっと出やすくなってきたと思います。以前は、「お昼なに食べましたか?」ってお聞きしてもなかなか出ませんでしたけど、今は薬味もすんなり出ますよね。最近、話しかけてくることが増えた、って聞きました。

旦那様:ええ、今はそうだね。あのね、それは、そんなにないってことはないね。

奥様:まず一人で散歩するようになりましたね。散歩していてどなたかに会った日は、主人が「誰それに会った」って、教えてくれるんです。 「どこの人?」って聞いたら、誰それさんと教えてくれるようにもなりました。 そして、前は誰かに道すがら会っても知らん顔していたのに、話しかけるようになった。 お知り合いの方から、「榎本さんのご主人、随分お話ができるようになりましたよね。『口がきけないから適当に言っておいて』ってお話になってましたよ」なんて言われもしました。 私のほうも主人が家に帰ったら、「今日は誰それさんに会ったん?」って聞くようになりました。

言語聴覚士:以前は喋っても違う言葉が出ちゃったりとか、しんどかったですよね。今は少し喋ってみようかな、って思えるようになりました?

旦那様:そうですね。意味も分かりますよ、今は分かるようになったので、今は大丈夫です。

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少しでも喋れるようになった時のお気持ちはいかがでしたか?

旦那様:ちょっと、こう、気持ちいい。もともとがあんまりにも酷いから、話ができないから、「すみませんすみません」って言っちゃって。

奥様:大体もう無口な人なだけに、少しずつこんな風に表現できることが私も凄く嬉しいですよね。この病気になってから言葉が出ないから少し気性が荒くなっていただけに。

この頃、先生が出してくれる宿題だけは嬉々としてやるようになっています。本を読んだり、TVも観るようになってます。今まではTVも見ない、新聞も本も読まない人でしたけど、この頃は自分から雑誌や本を買ってきて読んでみたり。本屋って家から結構離れているんですけど、サポーターなしで、自分で一人で行く。

旦那様:なんかしないと。なんかしたいしね。少しね。ものを知りたいと思って。

奥様:こういうことは、リハビリで改善してから実感したことですね。本当自分の身の回りの生活は、私が手をかけなくてもお洗濯したものを入れておけば、自分で出して着替えていますのでそれは楽になりましたね。

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※インタビューの内容は個人の感想です。

カウンセリング付

脳梗塞リハビリセンター
特別体験プログラム

5,500円(税込)