鍼灸で冬の後遺症悪化を防ぐ — 体の“めぐり”を整える

この記事でわかること
- 冬に後遺症のこわばりや冷えが強くなりやすい理由
- 鍼灸が寒い季節の体調管理に向いている理由
- 「めぐり」を整えることで期待できる変化
- リハビリ前に体を整えることの大切さ
- 鍼灸とリハビリを組み合わせるメリット
「鍼灸(しんきゅう)」というと、肩こりや腰痛を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、鍼灸は脳卒中後遺症のケアにも有効で、寒さで悪化しやすい冬にもその真価を発揮します。この記事では、鍼灸がどのように身体に作用するのかを解説します。
東洋医学でみる「冬の体」とは
東洋医学では、冬は「寒邪(かんじゃ)」といって冷えの影響を受けやすい季節とされます。
寒邪が体内に入ると、血や気の流れが滞り、筋肉や関節の動きが鈍くなる…
これが、冬にこわばりやしびれが強くなる理由の一つと考えられています。
また、「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスも崩れやすく、
- 気(エネルギー)が不足すると疲れやすく動きづらい
- 血が滞ると冷えや痛みが出やすい
- 水の巡りが悪いとむくみや重だるさが起こる
といった不調が現れます。
鍼灸の科学的な効果
近年の研究では、鍼刺激によって以下のような生理学的変化が起こることがわかっています。
- 血行改善:血管が拡張し、局所血流が増えることで冷えも改善します。
- 筋緊張の軽減:過剰に働く神経を抑え、筋肉をリラックスさせます。
- 自律神経の調整:副交感神経が優位になり、リラックス状態へ。睡眠の質がよくなります。
- 鎮痛効果:脳内の鎮痛物質(エンドルフィンなど)が分泌され痛み・痺れが軽減すると言われています。
つまり、東洋医学で言う「気血の巡りを整える」という考え方は、現代科学的にも血行・神経・筋肉のバランスを整える作用として裏付けられつつあります。
冬に鍼灸が向いている理由
冬は血行が悪くなり、体が冷えることで筋肉が固まりやすくなります。
鍼灸で血行を促すことで、「動きやすい体」へ整える準備ができるのです。
特に、
- 痙縮やこわばりのある方
- しびれや冷えを感じやすい方
- 夜眠れず疲労が抜けない方
にとって、鍼灸は「リハビリ前のコンディショニング」として非常に有効です。
鍼灸×リハビリの相乗効果
「脳梗塞リハビリセンター」のリハビリメニューは120分のリハビリの中で、鍼灸と理学療法士や作業療法士によるリハビリを組み合わせて実施しています。
鍼灸で整える → リハビリで動かす。
この順序をとることで、動作の習得や体の安定が格段に高まります。
たとえば、鍼灸で筋の緊張を緩めた後に歩行訓練を行うと、可動域が広がり、動きが滑らかになる傾向があります。
「整えてから鍛える」ことで、冬でも回復のスピードを落とさずに済むのです。
鍼灸を受けるときの注意
- 体調(血圧や服薬)をきちんと伝える
- 発熱時や体調がすぐれないときは無理をしない
- 施術後は、水分補給をこころがけ、急な運動は避ける
安全に受けることが、効果を最大化する第一歩です。
まとめ
鍼灸は、冷えやこわばりを根本から整え、リハビリを行いやすい体をつくります。
「整えてから動かす」――それが、冬の後遺症ケアを成功させるポイントです。
体を整えることで、動きやすさが戻ってきたとしても、それを“定着させる”ためには、もう一つ大切な視点があります。
次回【第3回】では、冬こそリハビリを止めてはいけない理由について、
「動きを覚えなおす力」という考え方からお話しします。
よくあるご質問(鍼灸と冬の後遺症ケアについて)
Q1:冬になると、こわばりや冷えが強くなるのはなぜですか?
A1:寒さによって体のめぐりが滞りやすくなり、筋肉や関節が動きにくくなるためです。
Q2:鍼灸は、どんな悩みがある人に向いていますか?
A2:冷えやすい方、こわばりや痙縮が気になる方、疲れが抜けにくい方に向いています。
Q3:鍼灸はリハビリの代わりになりますか?
A3:代わりではなく、リハビリを行いやすい状態に整えるためのサポートとして活用されます。
Q4:冬に鍼灸を受けるとき、気をつけることはありますか?
A4:体調や服薬状況を事前に伝え、無理のないペースで受けることが大切です。
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この記事は、脳梗塞後遺症をはじめとした様々な不調に対応実績のある鍼灸師 石上邦男(脳梗塞リハビリセンター 研修センターにて鍼灸技術研修を担当/臨床経験16年)が監修しています。
本記事は一般的な情報提供であり、症状や状態には個人差があります。
