【リハセンナレッジ】補装具費支給制度について
身体障害者手帳をお持ちの方が下肢装具などの補装具を新調・作り替えたい場合は、公的制度「補装具支給制度」が利用できます。原則として、装具購入または修理にかかる費用の1割を自己負担することで補装具(交付・作り替え・修理)の支給を受けることができます。
<1> 補装具費支給制度 を受けるには
下肢装具の作り替え・修理の際に「補装具費支給制度」を利用するためには、次の要件があります。
●対象者:
身体障害者手帳をお持ちの方。原則として、補装具に対応する障害名が身体障害者手帳に記載されていること。
ただし、身体障害者本人または同世帯のご家族のいずれかが一定所得以上(市区町村民税46万円以上)の場合には、補装具費支給制度による補装具費の支給対象外となります。
●申請窓口:
申請者の居住地の市区町村 障害福祉(保険福祉課 など) 窓口 または 補装具相談窓口
●申請手続きに必要なもの:
・補装具費支給申請書(自治体の様式があります。自治体窓口に確認しましょう)
・補装具費支給意見書(医師が記載するもの。事前の準備が必要)
・身体障害者手帳
・本人確認書類 (マイナンバーが確認できるもの)
・印鑑(シャチハタは不可)
●費用の自己負担:
原則、給付内容の1割の自己負担があります。ただし、世帯の所得に応じて負担上限額が設けられています。
●装具の個数:
・補装具費の支給対象となる補装具の個数は、原則として1種目につき1個ですが、特に使い分けが必要と認められた場合は2個とすることができます。
・修理期間中の代替用については支給の対象となりません。
<2> 支給までの流れ
◆補装具費支給制度 「新調と作り替え」 手続きの流れ
① お住いの自治体(市区町村)の障害福祉窓口 または 補装具相談窓口 へ問い合わせ、下肢装具製作の申請手続きを行う。
また、申請までに、医師に「補装具費支給意見書」の作成を依頼し交付を済ませておく。
② ①の相談窓口から、申請内容に基づく判定を、自治体が管轄する 自立相談支援機関* へ依頼。
*自立相談支援機関・障害者自立相談支援センター
東京都の場合は「東京都心身障害者福祉センター 本所」(新宿区)、
「同 多摩支部」(国立市)
③ 指定(予約)日時に申請者がお住いの管轄の「自立相談支援機関」を直接訪問し、支給可否の判定を受ける。
(※ 申請時に提出する、医師による「補装具費支給意見書」により判断する書類判定もあります)
④ 「自立相談支援機関」が 「市区町村の窓口」へ判定書を交付。
⑤ 「市区町村の窓口」が義肢装具製作会社へ判定通知と見積を依頼。
⑥ 義肢装具製作会社から「市区町村の窓口」宛てに見積書を発行。
⑦ 「市区町村の窓口」から申請者へ支給決定通知。
⑧ 支給決定の内容に基づき、申請者と義肢装具製作会社が契約を結ぶ。
⑨ 義肢装具製作会社が装具製作を開始(採型、採寸、仮合わせ、など)
⑩ 指定(予約)日時に「自立相談支援機関」を直接訪問し、完成した下肢装具の適合判定を受ける。
⑪ 下肢装具を義肢装具製作会社が申請者に引き渡し(納品)。申請者は義肢装具製作会社に購入費等を支払い、領収書を受け取る。
●補装具費の支払い:
装具購入または修理にかかる費用の原則1割を利用者負担金として申請者が義肢装具製作会社に支払い、残額を補装具費として市区町村が義肢装具製作会社に支払います。ただし、支給対象外の部品や製品は自費となる場合があります。
●納期: 約2か月 程度
※注意:
市区町村によって手順(流れ)が異なる場合があります。詳しくはお住まいの市区町村の障害福祉窓口 または 補装具相談窓口へお問い合わせください。
<3> 補装具費支給制度 利用の注意点
●「治療用装具」を作りたい時は:
治療や訓練のための「治療用装具」は、補装具費支給制度での補装具費の支給対象とはなりません。
(例:歩行訓練用短下肢装具 など
⇒ かかりつけの医療機関で医師に「治療用装具の製作(作り替え等)」をご相談ください。医師の処方により治療用装具を製作する場合は医療保険の対象となります。
●再支給(再購入):
・補装具の耐用年数が過ぎると、再支給を受けることができます。
・耐用年数内でも、障害状況の変化等で使えなくなった場合などは、再支給を受けることができます。
・耐用年数が過ぎても修理などにより使用できる場合は修理費の支給対象となります。
●修理:
補装具費支給制度は下肢装具の製作(新調、作り替え)・購入のほか、修理にも利用することができます。修理の場合も、購入と同様の申請が必要です。
ご自身・ご家族様が使用している下肢装具に関して分からないこと、点検方法や修理に関するお悩みがございましたら、まず、「脳梗塞リハビリセンター」の担当スタッフや、装具をおつくりになった時のかかりつけにご相談ください。
<制作協力>
川村義肢株式会社
■参考資料:
川村義肢株式会社 「下肢装具」(カタログ/医療関係者向け)、同 「安心・安全に装具をお使いいただくために -下肢装具編 -」(パンフレット)、同 「生活サポート用品カタログ vol.21」より「制度(補装具支給事業)」
補装具費支給制度の効果的な普及方法に向けた検討会(厚生労働省障害者総合推進事業)/事務局・社会システム株式会社 発行 「補装具費支給制度・利用ハンドブック」