リハビリメモ:EPISODE④ 退院後の生活…想像と現実は違った…

平穏だった日常から急きょ谷底に落ちてしまったように感じた病気の発症、その後、約半年間の入院生活を終え、無事に退院することができました。発症時に比べるとかなり良くなっていたので、自信満々に退院したのですが、現実は想像以上に厳しいものでした。


 


病院にいると、自分と同じように車いすを使用している方や、足に装具をつけたり、杖をついて歩いていたりする方がたくさんいましたが、外に出てみたらそのような方はほとんどいません。当初は自分だけ違う世界にいるようなイメージでした。あえて何ともないように振る舞ってはいましたが、当初は身体的にもメンタル面でも、かなり辛かったなぁと、本コラムを書きながら思い出しました。


 


 


退院後は、困ったことだらけでした。


 


まずは住宅に関して困りました。わたしの実家は階段が多い家で、身体に重い障害を抱えた私には不向きな家でした。手すりの設置や玄関扉の取り替えなどを行いたかったのですが、専門的な改修を行える業者さんや職人さんは少なく、探すところから始めると約半年に及ぶ大幅な改修となりました。


(私の場合は、介護保険の対象の年齢でもなくケアマネージャーさんがいなかったので、自力で情報収集しており、そうした情報が入りにくかったかもしれません。)


 


 


次に困ったのが仕事です。発症時は専門学校の学生だったのですが、繊細な技術を必要とするものだったので、復学するのは難しく退学することとなりました。仕事をしなければ生きていけませんので、仕事を探してみたのですが、職歴も経験もない私には大変なものでした。現在は身体の状態も良くなり、できることも増えましたので、社会人としてなんとかやっていけていますが、当初は未来が想像できず、不安な日々を過ごしていました。


 



そして、なんといっても一番に困ったのが車いすでの移動です。
今では、電動の車いすに乗って、どこへでも行ってしまうのですが、当初は、



  • 「そもそも、車いすを利用している人はどうやって移動しているのだろう?」から始まり、

  • 「どうやって車に乗るのだろう?」

  • 「どうやって電車に乗るのだろう?」

  • 「飛行機には、乗れるのだろうか?」


と、分からないこと、知らないことだらけで本当に苦労しました。
もちろん、いずれも車いすでの利用ができるのですが、自分がその立場になるまでは、利用されている方やその様子に気付いていなかったのだなと思いました。


 


 


退院して半年ぐらいは体調も安定しておらず、どこに行くにも両親と一緒だったのですが、いつまでもそのような訳にはいきません。とにかく「知らない」「分からない」ことが壁になる経験を沢山しましたが、調べて、準備を重ねて1人で移動するようになってからは、スリリングでサバイバルな体験ではあったものの、やってみると意外とできるものでした。今では、新たな出会いやたくさんの方に支えられて生きているなぁと感じる日々です。


 


1人で車いすで移動するようになってからのお話しは次回のコラムで書きたいと思います。


最後までお読みいただきありがとうございました。


 


 




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