Papero i

概要

介護施設などの高齢者向け施設を対象に、パペロが音声でガイドしながら、高齢者やことばの訓練が必要な方に”ことばを話す”トレーニングを支援するサービスです。
トレーニング内容やメニューは、脳梗塞リハビリセンター監修のもと言語聴覚士の言語リハビリに関する知見やノウハウを取り入れて構成しています。

  • PaPeRo iは日本電気株式会社の登録商標です。
  • 医療・介護保険の適用外です。

このようなお客様に

介護施設などでことばに関する健康維持・改善に向けサービス展開をご検討の高齢者施設事業者様。
※本サービスは介護施設などの高齢者向け施設を対象に提供しています。

構音障害に対するリハビリの意義について

脳卒中や他の疾患により、言語・コミュニケーション能力に問題が生じることがあります。問題の多くは、適切な検査や訓練による言語リハビリの継続により、長期間にわたり改善を図ることができます。
退院後も、言語リハビリを続けることの重要性は、多くの言語聴覚士が支持する反面、言語聴覚士の不足によりその環境が整っているとは言えないのが現状です。
言語・コミュニケーション能力は社会復帰(自宅、仕事)に大きく関わるだけでなく、アイデンティティを形成する要素でもあるため、構音障害に対するリハビリは、非常に強い社会的ニーズのあるものと考えています。
脳梗塞リハビリセンターでは、脳梗塞・脳出血などの脳血管疾患による構音障害に対し、発音(構音)訓練の一つとして、復唱訓練を取り入れていますが、パペロによる言語リハビリトレーニングは言語聴覚士が不足する状況において、多くの障害をもつ方々の今後の言語リハビリの大きな助けとなると確信します。

有効性について

一般社団法人日本脳卒中学会によると、「構音障害によるコミュニケーション障害を改善する目的の訓練は、十分な科学的根拠はないが、行うことが勧められる」とされています。
また、言語聴覚士とボランティア(無資格者)による言語訓練効果の比較をした場合に、必ずしも言語聴覚士による訓練効果が高いという結果はないとされていることから、ロボットを用いた訓練の有効性はあると考えられます。

パペロによる言語トレーニングの特長

  • ことばのトレーニングを促進

    利用者がトレーニングするきっかけを作り、継続をサポートします。

  • シンプルなボタン操作

    1つのボタンを押すだけで難しい操作はいらず、利用者は自分のペースで課題を進めることができます。

  • 言語リハビリのノウハウを取り入れた課題を提供

    言語聴覚士の言語リハビリノウハウ(*1)を取り入れた課題をパペロが提供・リードし、課題の達成へ向けサポートします。
    *1:脳梗塞リハビリセンター 監修

パペロの設置方法

パペロを言語トレーニングを行う室内のテーブルに置きます。利用者はパペロに向かい合うようにして椅子へ腰かけ、トレーニングを開始します。

  • ネットワークの環境不要
  • 設定の必要は無く、パペロの電源を入れるだけでご利用可能

専門家コメント

声をかけると返事とジェスチャーが返ってくるというスタイルのロボット訓練の良さとして挙げられると思います。

山﨑 康太郎

竹川病院 / 慶應義塾大学病院
リハビットHC 代表
リハビリテーション科専門医

山﨑 康太郎

プロフィール

東京大学医学部卒業。
竹川病院 / 慶應義塾大学病院 従事。
リハビットHC 代表。
リハビリテーション科専門医。
ITベンチャーに特化した、全く新しい「組織を活性化して経営に貢献する」産業医チーム、リハビットHC(re:haBIT healthcare consulting)の代表。2017年から始動した「B-SUB4 PROJECT」にリハビリ専門医として参加している。

脳血管障害の後遺症である言語の障害に対するリハビリとして「言語聴覚療法」への期待が高まっています。一方、十分な訓練機会が得られるとは限らないというのが、特に(慢性期と言われる)発症後半年以降については顕著な傾向です。訓練士の不足や偏在などすぐには解決しない問題も背景にあるため、代替手段を求める声も自然と出ています。
リハビリで成果を出すにはまず何より「続けること」が重要です。特に在宅療養の環境ではドロップアウトが問題になったり、フィードバックの乏しい訓練に意欲を失うという声が聞かれます。「声をかけると、返事とジェスチャーが返ってくる=リアクションがある」というスタイルで行われる汎用ロボットを用いた訓練は、この問題を解決するポテンシャルがあると感じます。
デフォルメされた”PaPeRo i” のフォルムや合成音声はテストでも好評だったようで、よい”同居人”としても受け入れられそうです。これも訓練を続け、成果につなげていくには重要な要素です。さらに見守りや薬のアドヒアランス改善など他の用途にも使い得るという点でも、汎用ロボットであるパペロ君には期待が持てると考えています。

脳血管障害の言語聴覚療法

脳血管障害の後遺症に対する言語聴覚療法としては、「言語障害」や「嚥下障害」のリハビリテーションが挙げられます。言語障害はコミュニケーション、嚥下障害は食という、いずれも生活の中で大きな拠り所となる営みにおける問題であり、本人はもちろん家族の活動範囲にも直結することから、多くの需要の声が寄せられています。

「慢性期」における言語聴覚療法

後遺症は残らないに越したことはありません。しかし、手足の麻痺など他の症状と同様に、急性期〜回復期で機能が取り戻せるケースがある一方で、退院時以降にも障害と共存していくことを余儀なくされる方も少なくありません。そうした方々がその後全く機能の回復を得られないかというと、必ずしもそうではないと考えます。
例えば言語障害の一種である「失語症」については、発症後2〜10週での回復が顕著であるとされています。しかし早期の回復を十分に促すには、体調が全体的に落ち着いており、意識がはっきりしていることなど、いろいろな条件が整っていないと実際には難しい場面も多いです。逆に、「脳の回復」で説明できない「学習」という要素も含めて考えれば、多くの方が伸びしろを残したまま退院されるとも言えそうです。年齢や病型によっては、数年単位で言語機能が回復を続けるという数十人規模の患者集団を対象とした報告もあります。
また同じく言語障害の一種である「構音障害」や、食事などの場面で問題となる「嚥下障害」については動作を司る筋の活動が重要となるため、機能の維持や長期的回復においては日々の実践、つまり継続的な訓練を適切な方法で行うことがポイントになります。回復した機能を維持することが難しいというのは、言語聴覚療法だけに限らず、リハビリ全般におけるポイントの一つです。

言語聴覚療法を受けられる場は限られている:解決策への期待

日本の言語聴覚士(ST)は有資格者数で3万人弱。人口あたりの人数は米国の半分以下、日本で喫緊に必要とされている数の3分の2にも満たないとされています。このうち現在言語聴覚士として働いていない休眠者も相当数存在すると想定され、稼働人口は他のリハビリ職に比べても少ない職種と考えられます。また、全国の医療機関で「患者状況に対して足りている」と考えている施設は4割程度でした。また、地域差(都市部とその他等)もみられています。総じて「ST訓練は(病院であっても)受けにくい」のが現状です。
また、介護保険や障害者支援制度の利用によって受けられるリハビリの量にはそもそも限りがあります。セラピストとの訓練セッションのみをリハビリと考える方も少なくないのですが、これだけで機能がめきめきと回復するということは実際には期待しづらいのです(そもそもは回復期を想定した制度ではなく、維持を目標としていると考えたほうが妥当)。訓練セッションは道標であり、より重要なのは日々の生活や、その中での自主訓練です。こうした考え方に則れば、自宅で手軽に、かつある程度カスタム性をもった訓練メニューを続けられる環境は、あらゆる地域に届けられるべきものと言えます。

ロボットによるアプローチに期待できること

カセットテープを流すだけでも、ある程度は上記の問題には対処できそうに感じるかもしれません。しかし実際には、身が入らない、続かない、という事が起きています。すると、当然ですが効果が出にくい。習慣形成には3週間程度を要すると言われており、そのくらいの期間のリハビリ継続がまず必須の課題です。特に(施設でなく)自宅療養中の方では訓練に参加する強制力も働きにくいため、訓練へのアクセスの容易さと、内容が問われるでしょう。誰でも指導できる内容ではないが、カセットテープでもダメ。では、どうしたら上手く続けられるか?その一つの答が、ロボット利用である可能性があります。リハビリ継続に寄与する因子を調べた研究では重要な要素としてスタッフやプログラム内容、次の段階では効果の程度などが重要という結果が出ています。フィードバックが得られること、それも「リアクション」と認識され得る形で返されることは、声をかけると返事とジェスチャーが返ってくるというスタイルのロボット訓練の良さとして挙げられると思います。
日本人はマンガメディアなどに親しみが深く、年代を問わず比較的ロボットを受け入れやすいと言われています。一方で見た目や動きに違和感や恐怖を感じて遠ざける感性は、子どもであっても持っています。結局はモノ次第というところなのでしょう。その点、デフォルメされた”PaPeRo i” のフォルムはテストでも好評だったようです。過剰に人間に似せてしまうことで生じる「不気味の谷」と呼ばれる違和感を感じさせないでしょうし、「声」が明らかな合成音声(母語の訓練ツールとしては問題のない水準だろうと感じます)であることも、却って良いように思います。
また、訓練以外にも”同居人”として居ること、さらに見守りや薬のアドヒアランス改善など他の用途にも使い得るという点でも、汎用ロボットであるパペロには期待が持てると考えています。

言語聴覚士が不在であっても、お一人、またはみなさまで安心して繰り返し取り組んでいただけたらと思います。

市毛 章吾

脳梗塞リハビリセンター 言語聴覚士

市毛 章吾

プロフィール

上智大学外国語学研究科言語学専攻修了。
現在、脳梗塞リハビリセンターにて言語聴覚士として従事。成人と小児の言語臨床の他、心理言語学の研究に携わる。

パペロの監修にあたって

パペロ(NEC 言語トレーニング支援サービス)のコンテンツ作成の協力にあたって、発声の問題、飲み込みの問題へアプローチするオーソドックスなトレーニングとして“復唱訓練”を取り上げました。
復唱訓練とは、聞こえてきた言葉を繰り返して言う訓練です。これにより、口や舌のトレーニングを行うことが出来、発声や飲み込みの機能の維持・向上が図れます。
この訓練の特徴として、繰り返し行うことが肝要となります。その際、パーソナルトレーニングを好む方がいる一方で、ロボットによるトレーニングの方が、気を遣わずに何度でも取り組めるという方がいらっしゃいます。また別の調査では、ロボットの方が長時間正確に行えることが示されています。

パペロの特徴

愛らしいフォルムと、聞き取りやすい声で言語トレーニングをサポートします。また、必要な機能が集約されており、コンセントを繋ぐだけで簡単操作にてトレーニングが開始できます。電源を入れてすぐ開始できることは、継続する上でとても大切です。
トレーニングのコンテンツは、実際の言語聴覚療法の内容を応用して構成されています。そのため、言語聴覚士が不在であっても、お一人、またはみなさまで安心して繰り返し取り組んでいただけたらと思います。

発声や飲み込み、言い換えると、コミュニケーションやお食事は、生涯楽しみながら関わっていきたいものです。パペロがその一助となれば幸いです。

パペロによる言語トレーニングについてデモ実演やご試用に関するご要望、その他お問合せは下記へ

NECソリューションイノベータ株式会社
イノベーション戦略本部 QOL事業推進グループ
NEC 言語トレーニング支援サービス 担当窓口
E-mail:slrehatore-ict@nes.jp.nec.com

お問合せいただく前に

お問合せいただくにあたっては、必ず以下の「個人情報に関する取り扱いについて」をお読みください。同意いただける場合、必要事項をご記入のうえメールを送信ください。

個人情報に関する取り扱いについて

パペロによる言語リハビリトレーニングに関しお客様からご提供いただいた個人情報は、NECソリューションイノベ―タ株式会社(以下、「当社」とします)の個人情報保護方針ならびに以下に基づき、適切な管理に努めております。

1.個人情報の利用目的
ご記入いただいた個人情報は、お問合せ内容への対応、また関連する製品・ソリューションのご案内、今後予定する関連イベント・セミナーへのご案内として利用いたします。

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